令和6年10月1日より、長期収載品の選定療養という新しい制度が始まります。
選定療養といえば、入院されたことがある方はイメージがわきやすいでしょうか。「入院時に個室を利用した場合は、差額ベット代をいただきます」に上げられるように、自ら選んで特別なサービスを受けた場合にかかる費用のことを言います。

長期収載品の選定療養とは?

まずは、長期収載品とは、どのようなものなのでしょうか?
長期収載品は、内閣府のホームページによると『明確な定義はされていないが、一般的には後発医薬品のある先発医薬品をいう』とされています。

長期収載品の選定療養とは、後発医薬品のある先発医薬品を、自らが希望して選択する場合は、別途、特別な料金(自費)として自己負担が生じるということです。その特別な料金とは、後発医薬品(最も薬価が高いもの)と先発医薬品の薬価の差額の4分の1相当を指し、医療保険の負担額と合わせてお支払いいただくことになります。その際の特別な料金は、保険適用外となり消費税もいただくこととなります。

自己負担の計算方法とは?

特別な金額が薬価差の4分の1とは言いますが、調剤報酬の計算方法は全て点数換算されますので、単純に4分の1ではなく少し複雑になります。

内服薬と外用薬を例にあげてみます。

例)アムロジン錠5㎎ 1日1錠 30日分の場合
後発品を選ばなかった場合は、330円が選定療養費として加わります。

アムロジン錠5㎎ 薬価15.2円
後発品 薬価10.1円

①長期収載品の薬価から後発医薬品薬価を引いた額の4分の1をもとめる
(15.2ー10.1)×1/4=1.275円
②1日分の点数を算出します
今回の場合は、15円以下は1点となるルールに従って、選定療養費は1点
*通常、薬価÷10で五捨五超入で点数換算します。
*五捨五超入とは、小数点が0.5以下の場合は切り捨て、0.5以上の場合は切り上げというシステムです。
③1調剤の選定療養費(円)を算出します
1点×30日×10円=300円
④消費税を加えます
300円×1.1=330円

例)ヒルドイドソフト軟膏 100gの場合
後発品を選ばなかった場合、352円が選定療養費として加わります。

ヒルドイドソフト軟膏 薬価18.5円
後発品 薬価5.6円
①(18.5ー5.6)×1/4=3.225円
内服薬・外用薬の薬価は、小数点第2位までとなっていますので、3.23円となります。
②(3.23×100g)÷10=32.3円
五捨五超入で32点
③32点×10円=320円
④320円×1.1=352円

特別な金額は、このような計算方法となります。

長期収載品(先発医薬品)が医療上必要があると認められる場合や、後発医薬品の手配が不可能な場合は、特別な料金はかかりません。

特別な料金(自費分)は、領収証に分かりやすく記載されています。詳しくは、薬局の窓口にてご相談ください。